ある宅配業者の被災地支援

ある宅配業者の被災地支援

写真出典:(C)TheAsahi Shinbun Company.

一枚の写真が訴えるものとは

この写真を見て、何を感じますか?

この写真は震災から13日後に撮影されたもので、ヤマト運輸木川社長へのインタビューで話題となりました。現場判断で会社の車を使い、上司の承認も得ずに無償で運びました。普通の会社なら、権限違反ですが、「やっていいどころか、どんどん自発的に考えてやりなさい、とにかく現場主義。」という方針だったそうです。すでにこの写真が撮られる前から、震災発生の数日後、地元では自発的に、社員が役所に直談判しに行って、救援物資の配送をはじめていました。

(記事の詳細については、「(ほぼ日刊イトイ新聞)」をご覧ください。)

「我々は道を知っている」

震災を受けた東北エリアは『ヤマト運輸』の社員が約1万人。そのなかで、震災で亡くなられた方は5人でした。その5人のなかで、勤務中に亡くなられたのは1名で、あとの4人は勤務時間外であり、自宅などで亡くなられています。つまり現場でドライバーが亡くなったのは、1名だけでした。あれだけの人数が働いていながら、犠牲者が1名だったというのは奇跡的な数字です。津波で流されたセンターは、全壊と半壊をふくめて20店ほどあり、その20店のほぼ全てのセンター長は、津波警報が出てからいったんセンターに戻ったそうです。そこで事務の女性や他の社員を避難させて、最後に自分が自家用車で逃げました。ぎりぎりの行動だったと答えています。

なぜ、助かったのか、という疑問に対して、その記事では「我々は道を知っているからだ」と答えていました。「日頃から走り回っているから、道のつながりはもちろん、どういうところが避難場所かも知っている。われわれは「地元」の集約だ。」と。

ニュース番組にはなりにくい話題ですが、仕事への姿勢や組織のあり方、現場の重要性など、多くの興味深い視点が見出せる話題でしたのでご紹介しました。(本社 技術部:飽田)